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若き日の天馬とお茶の水の関係性について
コンセプトワークス ゆうきまさみが語るインタビューを公開!

―――『アトム・ザ・ビギニング』に参加した経緯を教えてください。
ゆうき 手塚眞さんから連絡をいただいたのが最初です。手塚眞さんは、『究極超人あ~る』がお好きだということで、以前対談をしてから交流がありまして。お会いして、『鉄腕アトム』の前日談を新たに作るということでアイデア出しをしました。そのころはまだ誰がマンガを描くかは決まってなかったですね。

―――ゆうき先生は、もともとコンセプトのみということだったんですか。
ゆうき はい。僕は今、週刊で『白暮のクロニクル』(「ビッグコミックスピリッツ」小学館)を連載していますから、マンガを描く余裕はなく、アイデアを出すくらいであればできますよ、と。ただその時点では、描く人は新人さんになる可能性もあって、もしそうなったら、それなりのバックアップは必要かなとは考えていました。

―――オリジナルの『鉄腕アトム』についてはどんな印象を持っていましたか。
ゆうき 『アトム』を連載していた「少年」(光文社)の読者でしたから、子供のころから体に染みついている作品ですね。僕自身は、『鉄人28号』派ではあったんですが(笑)。当時は『アトム』も同時に読んでいて、カッパコミックス(光文社)も読んでいました。そうでなければ『究極超人あ~る』で、「あ~るがお化け屋敷に売られていた」なんていう『アトム』ネタを入れたりはしません(笑)。アンドロイドマンガを描くなら、やはりそこは避けて通れないだろうと。

―――『鉄腕アトム』で印象的だったエピソードなど覚えていますか?
ゆうき 子供の頃読んだマンガは、やっぱり絵を鮮明に覚えているんですよね。今言われてパッと思いついたのは、巨大化したカタツムリのゲルニカ(「ゲルニカの巻」)とか「植物人間の巻」とかですね。『アトム』って、いい意味でちょっとグロテスクな雰囲気があるので、子供心に印象に残ったのかな。あとアトムと対峙するゲストのロボットたちがよかったですね。アトム本体は、優等生的なんだけれど、毎回のゲストのロボット側がデザインもドラマも印象的で、そこが原作の『アトム』の魅力なんだと思います。

―――『アトム・ザ・ビギニング』のアイデアを出すにあたって、そういう原作のイメージは意識しましたか?
ゆうき うーん、そういうのは作家自身から出てくるものなんですよね。僕の中には、ああいうちょっとグロテスクなイメージというのはない。だから、自分がアイデアを出す取っ掛かりとしてはやはり天馬とお茶の水の関係性になるだろうと思いました。

―――そこがスタート地点なんですね。
ゆうき 若いころの二人ですから、一緒にロボット開発をしている仲間というのが自然な流れだろうし、その2人のキャラクター像がしっかり描ければ、前日談としてはうまくいくだろうと。僕が考えるに、天馬って天才なんだけれど、お茶の水がいないとダメなんですよ。それはお茶の水が世話を焼いているとかそういうことではないんです。天馬がアイデアメーカーとしては抜群なのに対して、お茶の水は、「天馬がやろうとしていることの意味」を察する力が高いんです。天馬は「0を1にする」ことはできる。でも、その1の意味をちゃんと理解して、よりよい形にするのはお茶の水のほうが上。ただお茶の水の中から、天馬のような天才的なアイデアが出てくるわけではない。だから天馬はきっとお茶の水にコンプレックスをもっているんじゃないか……そんなことを考えました。

▲自らを天才科学者と称する天馬(左)と彼と共にロボット研究をするお茶の水。
ちなみに天馬は通常の5年分も飛び級して大学の研究生になっている。


―――ロボットが登場することは考えていましたか?
ゆうき いえ、僕のアイデアの段階ではもっと2人の学生生活にフォーカスした内容を考えていました。たとえばお茶の水の好きな子を天馬が取っちゃうとか(笑)。だから、A106のようなロボットがメインで登場するということは想定していませんでしたね。「最終回にこんな感じのアトムが登場すればいいんじゃないか」というイメージで、アトムのラフをちょっと描いたぐらいでした。

―――最終的に、マンガはカサハラテツロー先生が担当されることになりましたね。
ゆうき カサハラ先生ぐらい描ける人がマンガを担当されるなら、こちらはもう何もいうことがないですよね。なので、第1話のネームを見せていただいて、後はもう見守るだけです(笑)。僕が描いていたらもっと学生生活ばっかりのかわいい話になっていたかもしれませんね。毎回楽しませていただいています。

▲作中では学生の天馬とお茶の水がロボット研究開発費をアルバイトで稼ぐ話も登場する。


―――アニメに期待するところを教えてください。
ゆうき オリジナルエピソードが入ると聞いているので、そこは期待したいところです。原作にない部分で、天馬やお茶の水といったキャラクターがどのように描かれるのか楽しみにしています。
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アトムザ・ビギニング

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